有限会社デコラティブモードナンバースリー
東京のホテル『クラスカ』で、『グラフ』のプロダクトの展示会を行っていた関係で、トランジットジェネラルオフィスの中村さんとはすでにつきあいはあったのですが、正式に一緒に仕事をするのは今回が初めてになります。彼から堂島ホテルのリニューアルのプロジェクトに加わらないかという話があり、「何や、うちの中之島のオフィスからすぐ近くのホテルやん。おもしろそう。ぜひ」(笑)ということになりました。『堂島ホテル』は泊まったことは無いですが・・・大阪でも有名なホテルですよ!!
ホテルの家具をオリジナルで手掛けるのは、今回が初めてです。
家具の使われ方の現象として、かつてリビングユースと商業家具は、はっきりとした境界線がありました。カフェブームの発展も、リビングユースの家具が飲食店に入ってきたことが大きな要因だと思うんです。
『グラフ』の家具もリビング、商業店舗どちらでも使えるものを作っています。その中で、自分たちは「スタンダード」なものをやっていきたい。家具は長く持ってほしいし、使ってもらいたいと思っています。ましてや『堂島ホテル』は古いホテルだけど、社会の経済状況によってリニューアルを繰り返してきているので、一層、その気持ちが強いです。
今回は室内にある家具、ソファ、テーブル、アームチェアなどをデザインしました。コンセプトとしては、デザインが過剰になることより、リラックスできることをメインに考えて家具自体に奇抜さを出してはいない。室内環境に意識がむくように考えてあります。
部屋に座って眺めているうちに「何か違うぞ」と思ってもらえればと思いました。
空間が白なので、家具は質感を際だたせるよう考えて、素材選びをしました。あっさりした生地でなくテクスチャー感があるチークやタモなどを選んでいます。
ファブリックの色は暖かいグリーン、茶系で統一しました。ごくごくシンプルに、です。
『グラフ』の家具は、モジュールが1800cm X 900cmの日本の規格サイズの1枚板から家具を作ることをコンセプトにし、そこからデザインが始まっています。当然、日本のモジュールですので収まりやすく、日本人のヒューマンスケールということもある
。なつかしい感じがするのはそのせいかもしれません。
ホテルで使用される家具ということで、例えば室内の家具のメインとなるソファのクッションの固さは、リビングユースのものと変えてあります。毎日のように使用するリビングユースは、耐久性の面でも固めでしっかりした座り心地ですが、ホテルユースのものは、座った瞬間にフカッと入って落ち着く、ゆったりした感触を工夫しました。
座った時の目線の高さをどのへんにするかも大切でした。目線が下がると、他の家具から近く窮屈に感じるので、高めになるようなデザインにし、部屋を広く見せる工夫をしています。
真っ白な空間なので、家具にどういう意味をもたせるか?存在感がありすぎず、空間に馴染んではいるがイメージの印象は家具からきている、といった感じを目指しました。
ホテル全体のデザインのコンセプトが「オーセンティックモダン」ということで、空間と家具が一緒になって、ホテルのもつ空気感を体現した感じ。ロゴ、室内デザイン、家具、全てにおいて『堂島ホテル』がどうあるべきか、想像したものに近づいているのではと思います。
ホテルの部屋がデザイン過剰で、家具はもちろん、AV機器も海外の有名ブランドなんていうのは、気の休まるところがない。
「デザインをビジュアライズすることがデザインではなく、空間をデザインする」という点では、ちゃんとできたと思います。
今回、地元の大阪のホテルの再生にデザイナーとして関わった訳ですが、『堂島ホテル』がテストケースでうまくいけば、こういった方法でまたやっていきたいとも思います。
しかし、デザインのみに頼らず、コンセプトとデザインとのバランスをまじめに考えることですべてが変わり、サービスとの調和が取れた瞬間、存在する価値が生まれるのです。ホテルの事業主の方々も”デザインホテル”を意識せず、ホテルのコンセプトをとり戻した上で、原点回帰してほしいと思いますね。


スペースデザイン、家具、照明、グラフィック、プロダクトデザイン、アートから食に至るまで「暮らしのための構造」を考えてものづくりをするクリエイティブユニット。大阪・中之島に発信拠点を持ち、オリジナル家具の製作・販売、店舗・住宅設計、プロダクト、グラフィックデザインなど、プロジェクトごとに幅広い活動を行っている。






























